【英日対訳】ミュージシャン達の言葉what's in their mind

ミュージシャン達の言葉、書いたものを英日対訳で読んでゆきます。

「To a Young Jazz Musician」を読む  第6回

第6回:3.ルールを語る、自由を歌う 2003年7月2日 

 

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僕は息子たちがそれぞれ7歳、そして8歳の頃から、一緒にチェスをやっている。しかし今になって、彼らは10代の子達がよくなる病気にかかってしまった。君はきっとわかるだろう。物事に取り組んでいて、自信過剰になると、自己顕示に走り始める。そしてコテンパンにやっつけられる。あの病気だ。「チェックメイト(王手)」と言われると、信じられないと言わんばかりに目を丸くして、騒ぎ、文句を言い、怒った挙句、正気に戻ったかと思うと「もう一回」とせがむ。チェスは、コンサートの開催地を移動するバスの中で沢山やるんだ。仮に君が息子たちのように同行するなら、ゲームのルールを知らないとね。駒の名前、動かし方、相手を負かす戦略を、ね。 

(語句と文法:数字は行数) 

1.I've been playing chess with my sons since they were seven and eight years old私は息子たちと彼らが7歳と8歳の頃からずっとチェスを楽しんできている:現在完了進行形(I've been playing) 3.You think you're way better at something than you really are and you're in a hurry to demonstrate that fact君は本来の自分の実力は追いついていないのに何かにおいて上達していると思い込むとそれを急いで他の人に示そうと考える:比較表現(better than you really are) 不定詞(to demonstrate) 6.They hear that word “checkmate” and their eyes widen with disbelief彼らは例の「王手」の一言を聞き不信感と共に目を見開く:分詞構文(their eyes widen) 

 

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直近の君からもらった手紙を読んでみたけれど、君もルールについて考えているのかな。別に驚いているわけではないけれどね。ルール、そしてルールについて考えることは、僕が教えている子達ほぼ全員にとって悩みの種だと、僕は認識している。ルールの定めることにがんじがらめにされて、やって良いことといけないことが気になる。おや?むしろそれは、上手になる魔法の方程式を与えれくれると思っているのか?考え直したまえ。ま、とにかく、このことについて語ろう。君の心を何らか穏やかにするためにもね。 

(語句と文法:数字は行数) 

3.I'd say you're thinking about rules, too私は君もルールについて考えていると言ってみようと思う:仮定法過去(I'd) 6.Regulations just wrap y'all up - worried about what you can or can't do規制が君を包み上げてしまい君は自分ができることとできないことを気にしている:関係詞(what you can)  

 

最初の疑問、ジャズではルールというものは良いモノか、悪いモノか。申し訳ないが、良い悪いで答えられるものではない。ルールというものは、良くも悪くもありえる。元々そういう価値基準で判断されるものではないんだ。いくつかの例外、例えば「近親者との婚姻は禁止」とか、そういうのを除いては、ルールというものは、価値判断を単に成文化したものにすぎない。例を挙げよう。「ルールなんかクソくらえだ。大事なのは感覚だ」コルトレーンの名言が引用されているのを、よく見かけるだろう。好都合な一言だよね。トレーン曰く「ルールなんかクソくらえだ」。結局それでもって何だって正当化されてしまう。君がリズムの変化について僕に質問する。すると僕は答える「おい、リズムなんて変化するものだろう。何でそんなこと、いちいち話し合わなければいかんのだ?ルールなんてクソくらえだ。大事なのは感覚だ。」ほら、わかっただろう。「ルールなんてクソくらえだ」が、結局ルールになっている。 

(語句と文法:数字は行数) 

11.I already hear the first question rolling around in your head私は既に最初の質問が君の頭の中で回っているのを耳にしている:知覚動詞+O+現在分詞(hear the first question rolling) 13.They don't hold inherent value that can be judgedそれらは白黒決着をつけることが出来る本来的価値など持っていない:関係詞(that can) 16.you'll often find someone quoting Coltrane as saying, “Damn the rules. It's the feeling that counts”君はしばしば誰かがコルトレーンの次の言葉を決め台詞として持ち出しているのを見つけるだろう「ルールなんてクソくらえだ。考慮すべきは感覚だ」:find+O+現在分詞(find someone quoting) 仮主語(It's the) 18.And it ends up used as a justification for anythingそしてそれは全ての正当化として使用されることで落ち着く:分詞構文(used as)  

君にはむしろ、こんな考え方を持ってもらおうと思う。物事の考え方を決めるに当たっては、ルールや規制は何の為?と考えるよりも、むしろ君自身の音楽やスタイルを作ってゆくことを通じての過程や経験、こちらに基づいて決める考え方、これを持ってもらおうと思う。すると結局は、その過程や経験から発生した方法や理由といったものが、ルールというものの正しい捉え方や、その価値へと君を導くからなんだ。 

(語句と文法:数字は行数) 

24.I prefer to get you into a realm of thinking that is defined not by answers about rules and regulations, but rather by the process and experience through which you construct your own music and style私はむしろ君にルールと規制についての答えによって定義されるのではなく君が君自身の音楽とスタイルを構築する家庭と経験によって定義される考え方の領域へと君を導いてゆきたい:関係詞(that is) not ~ but …(not by answers but by process)  

 

 

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三つ考えてほしいことがある。一つ目。ジャズの仕組みとは、そこから逃げなきゃと思う 

ほど不自由なものだろうか?無理難題を押し付けられるようなものだろうか?フットボールの試合の禁止ルールのように、それらを無視したらプレーが制限されてゆくようなものだろうか?二つ目。演奏を聞いてもらう人は限った方がよいのだろうか?既に知っている客層とは関わりたくないからと言って、耳の肥えた人を作ってゆくべきだ、とでも言うのだろうか?例えば、英語の文法ルールを使わず英語を話すとしよう。独自なものの言い方をしようと思ったら、言いたいことを言うためには文法ルールにない言葉を新たに作らなくてはならなくなる。つまり「スバラシイネ(素晴らしいね)」と言いたければ「ブマラトゥーゲ」とか。言った本人はいいだろうが、言われた方はチンプンカンプン。三つ目。型を破る方法に反して型を破る、なんて、可能なのか?かつて、ある僕の生徒と、いつも同じやり取りをしていたことがあった。彼はいつも、こう言い張った「もっと可能性を広げて、行き着くところまで行きたい」。 

僕は質問した「行き着くところ、とは?」 

「型にはまりたくない。もっと磨いて、行き着くところを今より広げていくんだ。」 

「おや、今より広げた行き着くところ、とは何のこと?」 

すると彼は、言葉が続かなくなってしまった。つまり、行き着くところを広げる、と言っても、それもまた、はまってしまう型のことであり、今自分が置かれている「手近なところ」の、「そのまた向こう側」と、その場所が限られてしまう。 

(語句と文法:数字は行数) 

4.are the structure of jazz so enslaving that you have to be free from them?ジャズの仕組みはあまりにも自由を奪うようなものだから君はそれらから解放されなければならないのか?:so~that S+V(so enslaving that you have) 6.the boundaries of a football game, which if discarded make playing less liberatingもし捨てられてしまったら試合のプレーが開放的ではなくなってしまうフットボールの試合における数々の制限:関係詞・非制限用法(which) make+O+C(make playing less liberating) 7.is it desirous to play for fewer and fewer people?演奏を聞かせる人の数はより少なくしてゆく方が望ましいのか?:仮主語(is it) 不定詞(to play)  

 

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現代のアメリカでは、理由もなく反抗するという、誤った考え方が人々の間に蔓延している。君も何度となく見聞きしたことがあるだろう。一見当たり前になっている不満分子達の哲学:世界を倒せ、全部クソくらえ、何でもかんでもぶち壊せ、それがアメリカのやり方だ。でも本当の処を知りたいだろう。このスローガン(哲学)は「理由もなく」というところがポイントだ。今の時代「反抗」なんて考えは、僕達の頭には無いだろう。合衆国憲法や独立宣言は「反抗」の賜物だ。人々は理想を表現するのに命を賭した。ルイ・アームストロングの演奏も、デューク・エリントンの作品も「反抗」の賜物、自由の謳歌だ。でも今例に挙げたものは、新しい規範を生み、それぞれが法やルールの下で各々機能しているものなんだ。 

5.You've read it, seen it, and heard it so many times that the philosophy of the disaffected cat just seems natural君はそれをあまりにも多く読み、見て、聞いたものだから、不満のある連中の哲学が当たり前に見えてしまう:現在完了(You've read seen heard) so~that S+V(so many times that the philosophy)  

 

自由とはルールの枠組みの中に息づくものだ。変だと思うかい?分かりにくいかもしれないな。自由さが欠けているように見える状態の中に、どうしたら自由が存在しうるというのか。こういった自由とルールの枠組みという概念を、長い間存在してきた形式や実践例を背景として、その流れの中で考えてみよう。そして自分自身に問いかけるんだ。もっと良い方法はないのか?既存の秩序に本気で反抗しようとするなら、自分が本当に求めているのは、自由か、それともバカなカルト集団か何かの宣伝文句や甘言に乗せられているだけか。既存の形式が持つ可能な選択肢は、全て使い尽くしたか?自分が表現しようと思うものの規模は、新しい形式を編み出さないといけないほどデカいのか?そして突き詰めれば、自分の芸術家としての自由さを持って何がしたいのか? 

(語句と文法:数字は行数) 

19.How could there be freedom in a state that you perceive as lacking freedom?自由が欠けていると君が思う状態の中に自由がどうやって存在しうるのか?:仮定法過去(could there) 関係詞(a state that you) [p.35,3]Is the size of what I want to express large enough to require new forms?自分が表現したいと思うものは新しい形式を必要とするほど十分に大きいのか?:関係詞(what I want) enough+不定詞(large enough to require)  

 

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なぜこんなことを君に言うのか。それは、音楽家人生という道は、巡り巡って君自身、そして君が選んだことへと戻ってくるからなんだ。こういった事柄を、君にはよく考えてもらいたい。なぜなら、直面する問題をより深く考え、より多く解決策をひねり出すほど、益々上手くアーティストとしての自己表現ができるようになるからだ。 

(語句と文法:数字は行数) 

7.These are the things I need you to ponder, because the more deeply you think about the problems of your day and the more solutions you propose, the more successful you will be at expressing your identity as an artistこれらは私が君によく考えることを要求する子だ、なぜなら君がいま過ごす時代の問題についてより深く考えるほど君が芸術家として君のアイデンティティを上手に表現するようになるからだ:関係詞・省略(things [that] I need) the+比較級, the+比較級(the more deeply the more solution) 

 

ここで昔の格言に触れてみよう。「国家の失敗を個人が同じく仕出かすようなマネをするな」。時代によっては、世間が正しいと判断することを君自身も受け入れる可能性がある。アメリカでは人の差別が何年間も続いた。理性的で知識のある人達が、こんなものは社会を破綻させ、しかも非人道的だ、と分かっていったにも拘らず、だ。差別はやがて、形を変え、そして受け入れられていった。社会の習慣だ、と言わんばかりにね。「もう沢山だ」ということで、アメリカ人達は決心する。この社会の習慣と戦うことを。「これ以上やってられるか!何としてでも変えてやる!」声がついに上がった。人々は反抗し、新たに、そして今なお続く苦難の道を選んだ。 

(語句と文法:数字は行数) 

13.Growing up in a particular era can lead you to accept things that society simply presumes to be trueある時代を生きるということは社会が単に真実であると推定する物事を受け入れるよう君を導いてしまう可能性がある:動名詞(Growing) 関係詞(that society) 17.Segregation became reduced to and accepted as custom until enough Americans made the determination to fight perceived custom by saying, “We won't stand for this any longer, so we will go through whatever it takes to effect change.”差別は、十分な数のアメリカ人達が「我々はもうこれ以上これに我慢しない、だから変化を起こすに必要なことは何でも切り抜けてやる」と言うことによって認知されている習慣に対して戦う決心をするまで、習慣として形を変え受け入れられてしまった:不定詞(to fight) 動名詞(by saying) 関係詞(whatever) 21.They rebelled and forged a new way that we still work on today彼らは反抗し今でも私達が今日取り組んでいる新しい道を苦しみ進んだ。 

 

大きな変革は、いつだって始めることは出来る。例え今の様な、皆が勝手気ままなじだいであってもね。およそ想像しうる最もしょうもないようなことの、いくつかが、当たり前になってしまっているような時代においてもね。1970年代の初め頃にファンクバンドで演奏していた時は、舞台に上がって股間のモノを掴んで、自分達を軽蔑的な名前で呼ぶなんて日が来るとは、全く想像すら出来なかった。1972年当時は、そんなことがエンターテイメントと見なされるなんて、考えることすらしなかった。想定外もいいところだった。でも2003年の今、そんなものは四六時中見かけるし、人の自由の表れにもなっている。さて、今君はミュージシャンだね、アンソニー。君には自分の考えや精神、音楽のコンセプトを実践してゆくチャンスがある。君はこの文化へと入ってきて(音楽の世界へ入ってきて)、自分の音楽を駆使して色々な発信をしてゆくことになっている。君の自由にできることをフルに発揮してゆくわけだが、それによって、ある種の「ルールの枠組み」が新たに出来上がってゆくだろう。そしてそれは最終的に、他の誰かの自由に「立ちはだかる壁」になるんだ。 

(語句と文法:数字は行数) 

23.Profound change can be initiated in any time, even during a self-indulgent era like the one in which we now live, a time when some of the dumbest stuff that you could imagine has become custom重大な変化はいつでも始められることが出来る。たとえ私達が今生きているわがままな時代、つまり君が想像しうるもっとも愚かなことのいくつかが習慣となってしまっているような時代においてもだ:前置詞+関係詞(in which) 現在完了(has become) [p.36, 5]You could not have imagined in 1972 that that would be considered entertainment1972年にはそれが将来エンターテイメントと見なされるようになるなるだろうなどと想像することはできなかったかもしれない:仮定法過去完了(could not have imagined) 

 

また、こんなことも自問自答してほしい。「ジャズの中で、自分が「これは開放的だ」と思えるものは何だろう。自分が表現したいものは何だろう。ジャズのルールの枠組みとは窮屈なものなのだろうか。それから、こういったルールの枠組みは、どんどんなくしてゆくことで窮屈ではなくなってゆくだろうか。」忘れないで、フリージャズという考え方が生まれて、今まででおよそ50年というところだ、ということを。 

(語句と文法:数字は行数) 

16.What is it in jazz that I find liberating?私が開放的だと思うものはジャズの中だと何がそれか?:it is~that S+V(is it that I find)  

 

コルトレーンは、オーネット・コールマンに師事していたことを知っているかい?本当さ。1969年代の初めの頃だ。コールマンの、コード進行によらない演奏方法を教わるためにね。なのに、コルトレーンは、彼の従来のスタイルを「クレセント」「至上の愛」そして、あの「トランジッション」などのアルバムを聴いてわかる通り、結局は維持したんだ。コルトレーンが自由を獲得したやり方は、コールマンの教えは受けても、それに乗り換えることではなかった、ということだ。 

(語句と文法:数字は行数) 

23.Coltrane took those lessons so that Coleman could teach him how to break free of harmonic structureコルトレーンはこれらのレッスンを受けることでコールマンは彼に調性のルールの枠組みを破り自由になる方法を教えることが出来た:so that S+V(so that Coleman could) 疑問詞+不定詞(how to break)  

 

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欧米の物の考え方では、ジャズに限らず、音楽における真の進化の為には、エリートと呼ばれる所まで登りつめようと高飛車な態度で自らを進歩させる上で、抽象的な理屈が用いられる。その信条は「凡人にはわからないヨ」。でも僕達ミュージシャンは、ほとんどの人が聴いても分からないような、より高尚な表現方法を極めてゆくべきなのか?それとも逆に、誰もが耳を傾けてしまうような「売れれば何でもアリ」的な方向へ行くべきなのか?僕達の目的は?「自由」を表現する方法は?そう考えると、アーティストとしての僕達の責任は、どこに設定すべきなのか? 

(語句と文法:数字は行数) 

8.But should we be striving for an even more elite expression, one that very few people can listen to?しかし私達はよりエリート的な表現というほとんどの人々が聴いてもわからない物を得ようと奮闘しているべきなのか:関係詞(that) 10.should we go in the commercial direction, an expression that people can't help but listen to?私達は商業主義的方向という、人々が思わず聴き入ってしまう表現を行くべきなのか?:関係詞(that) can't help but(can't help but listen to) 

 

さて、アンソニー、こういう問いかけは、正しいとか間違えているとかの答えは出ないものだ。僕は君にこういうことをよく考えて欲しいんだ。君は音楽の道を今進み、その中で自分自身のことを理解してゆくんだ、ということを、決して忘れないこと。僕達が語り合うことは、全て君がミュージシャンとして向上してゆくことに役立ててゆくものだ。僕は君をそのように導いてゆきたい。音楽について考えた方が良いことを教えたくはないし、結論めいたことを君に与えてしまって、結果、君が自分の潜在能力が何かを気付くことが出来なくなるようなことも、したくない。 

(語句と文法:数字は行数) 

16.you're on a road, discovering yourself as you go along君は音楽の道に在って、そこを進みながら自分自身を発見する:分詞構文(discovering) 16.Everything we talk about is geared toward making you a better musician私達が語る全ては君をより良いミュージシャンにすることへ向けられる:関係詞・省略(Everything [that] we talk) make+O+C(making you a better musician) 18.I don't want to tell you what to think about music, or give you a conclusion that keeps you from realizing whatever your real potential might be私は音楽について何を考えたらいいかとか君の本当の潜在能力とは何かに気付かせないような結論を君にあたえるようなことを君に話したくない:疑問詞+不定詞(what to) 関係詞(that keeps) 動名詞(realizing) 関係詞+ever(whatever your real)  

 

小さな子達が、ひっきりなしに僕のレッスンにやってくる。皆例外なく、普段教わっている先生方から頑固な指導を受け、やるべきこと、守るべき考え方に縛られている。いつも僕は気の毒に思う。君には、むしろ僕は、身の回りのことについて、深く考え、自在に反応できる十分な柔軟性を持ってもらいたい。君自身のやりたいことに集中してもらいたい。そうすれば、僕は安心して君に話せることがある。フリーインプロバイゼーション、能力の限界、聴いても分からないような抽象的で排他的な表現方法、あるいは売れればいいと言わんばかりの幼稚な演奏の仕方。君はこういった話題にも反応できる能力と柔軟性が持てるからだ。 

(語句と文法:数字は行数) 

21.their teachers have given them some unbending instruction, something they have to do, a way they need to think彼らの先生方は彼らに何らかの頑固な指示を与えてしまっている。それは彼らがしなければならないことで、彼らが考えなければならない方法だ:現在完了(have given them) 関係詞・省略(something [that] they have a way [that] they need) 24.I'd rather you be flexible enough to think deeply about and respond to the world around you私はむしろ君に君の身の回りの世界について深く考え反応できるくらい十分柔軟であってほしいと思っている:原型不定詞(be flexible) enough+不定詞(flexible enough to think)  

 

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僕は定期的に息子達をつれてジャズを聞かせに出かける。小さい頃は大して好きではなかった。よく「また?もうイヤダ!」と言っていたものだった。実際、大抵聞きながら寝てしまっていたからね。ある時、連れて行ったのが、セシル・テイラーという大物ピアニスト。激しく、無秩序で、普通には聴いても分かりにくい演奏スタイルの持ち主だ。そうしたら、息子達の一人が客席の後方の席から立ち上がってこう言った。 

「わぁ」ひたすらじっと見続けていた。テイラーの演奏が信じられないモノだったということだ。実際20分間くらい身構えた状態で、その夜の演奏の間、固まっていたからね。 

 

「この人達、今晩ずっとこれやるの?」彼は尋ねた。 

「かもしれないな。」僕は答えた。 

「ここにいる大勢の人達、こんなの聞きたいのかなぁ。」 

「まぁ、それがニューヨークのいいところさ。」 

 

これがもしニューオーリンズでの出来事だったなら、こんな自由奔放な演奏を本番中目一杯やられたら、聞くに堪えなかっただろう。でもこの日、その後どうなったと思う?息子達はテイラーの演奏を寝ずに聴いていたんだ。まぁ、少しうつらうつらしてしまったけどね。でも他の事では比べられない位、かなり長時間頑張った。この話は、息子たちの好みがこうだったと説明しようと持ち出したわけではないんだ。あの晩ふっとわいた興味、それも予想外に沸いた好奇心だった、と言おうとしただけ。 

(語句と文法:数字は行数) 

20.If it had been New Orleans, a full night of that particular example of structural freedom might be a tough propositionもしそれがニューオーリンズだったら音楽の構造からの自由の特別な例が示された一晩はキツイ処理事項となったかもしれない:仮定法過去完了(If it had been freedom might be)  

 

「うーん、パパ、これって何なの?」 

自由、何を求めてかは知らないけどね。 

 

 

次回、第7回は、Playing Jazz(ジャズを演奏する) 2003年7月18日の、前半部分を見てゆきます。