【英日対訳】ミュージシャン達の言葉what's in their mind

ミュージシャン達の言葉、書いたものを英日対訳で読んでゆきます。

「To a Young Jazz Musician」を読む  第5回

第5回:2.人間らしさ 2003年6月18日 

 

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優れたミュージシャン達の演奏を聴く時、例えばチャーリー・パーカーのようなプレーヤーもそうだが、彼らが演奏する音符やハーモニーを構成する音ばかり聴いていてはダメだ。音符は単なる「覆い」、つまり「外見」だ。音符が言わんとすることに耳を傾けよう。きっとそれは耳に入ってくる。そしてそれは、その表現は、音符やハーモニー等よりもずっと重要なものだ。なぜなら、ハーモニーの音符は、誰だって聴けば分かるし、いずれは聴きつくしてしまうものだからだ。音符が言わんとすることこそ、探し求めるべきものだ。そして、一つ一つのニュアンスには、無限に言いたいことがそこにある。今後数週間、僕達が普段関わる音楽(ジャズ)についての、大きな思い違いの一つを話してゆこうと思う。よく言われるところの「技術的なものを極めることか?」「感情表現を磨くのか?」の間での葛藤だ。実際、これから君は、僕の話がくどくてウンザリしてしまうのではないだろうか。でも僕がこれから多分力説してゆくであろう、「表に出す感情」と「内に秘める思い」との関連性について、頭に入れてほしいことがある。それは、どちらも、これらだけでは、音楽を作る上では十分とは言えない。音符やハーモニーをまともに演奏できなかったら、チャーリー・パーカーでも誰でも、なろうとしてもだめだ。技術がない。 

(語句と文法:数字は行数) 

5.When you listen to the greatest musicians, someone like Charlie Parker, don't merely listen to the notes they play or the harmonic contentチャーリー・パーカーのような最高峰のミュージシャン達の演奏を聴く時は単に彼らの演奏や和音を構成する音符だけを聴くようなことはしてはいけない:関係詞・省略(the notes [that] they play) 15.In fact, you're probably gonna get tired of me harping on it実際君は私がそれをクドクドと言うことに疲れてしまうことになる:分詞構文(harping on it) 

 

世の中には、幸運にもメロディが次々と頭に浮かんでくる、などという人達もいる。勿論チャーリー・パーカーもそうだった。彼の身の回りは、メロディ、心の拠り所となるメロディが満ち溢れていた。教会音楽、カンザスシティブルース、カントリーブルース、アメリカ国内で人々の間で歌い継がれる大衆音楽、などだ。彼はありとあらゆるジャンルの、メロディが心地よい曲を、沢山好んで触れるようにしていた。それは、彼の日々の生活を織りなす一部となっていった。それが彼の生きた時代だ。君がいま生きている時代とは違う。だからチャーリー・パーカーを目指す君は、グリオット(西アフリカの、人々や生活を語る人)とか、あるいはベラ・バルトークのような(ハンガリーの民俗音楽に詳しい)音楽学者のようなことも、しなくてはいけない。君の生きる時代の文化を反映したメロディの意味を、いつも頭の中に入れておかなければならない。すごく恵まれた時代に生まれたアーティストというものは、存在する。そんなアーティストは、他の時代とは比べ物にならない位、わかりやすく人々の間に既に知れ渡っている音楽表現を、のびのびすればいい。そうではない時代に生まれてしまったアーティストは、時代の流れに立ち向かい、良きものを取り戻し、あるいは時代の流れを変えることが必要だ。どんな時代に生まれるか、人はそれを選べない。でもどんな時代に生まれても、そこでどう生きるか、そして意味のある発信をどう行うか、それは、やってやれないことはない。 

(語句と文法:数字は行数) 

21.Some folks are fortunate enough to be melodic wellsprings何人かの人々はメロディの泉であることが出来る位十分幸運だ:enough +不定詞(fortunate enough to be) 

 

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チャーリー・パーカーにしろ誰にしろ、優れた、そして心地よい演奏をするジャズプレーヤー達の演奏を聴く時、君はこう思うだろう「僕はどうやって、僕だけのメロディを手に入れよう?」「そのメロディはどこにあるだろう?」それがわからないと、全部の調のスケール(音階)を弾きまくらなければならなくなってしまうだろう。そうなったら、良い音楽など出てこない。残念ながら、今の時代は、メロディがはっきりしている音楽やロマンチックな感情表現をしっかりつける音楽は、ない。そんな中で君は音楽を習っているんだ。だから、自分の音楽の中にそういった要素を幾つか取り入れたいなら、どこでそれが手に入るか理解しないといけない。探すんだ。意味を知らない単語を耳にしたら、探しにかかる。それと同じようにね。もしチャーリー・パーカーの演奏を聴いて、理解できないフレーズがでてきたらどうする?まぁ、もしかしたら、理解しようとしてもダメかもしれない場合も大いにあるだろう。というのも、君の身の回りで、君以外にそうしたいと思う人間が一人もいないからだ。その人達に質問してもしょうがない。知っている人を探さないとね。その時々にツアーで来ているジャズミュージシャンに会ってみたり、地元の筋金入りのジャズファンと会ってみたりしよう。くじけてはいけない。探すんだ。 

(語句と文法:数字は行数) 

12.If you can't figure out where your melodies come from then you'll be reduced to playing scales on chordsもし君が君だけのメロディがどこから来るか理解できないなら、君はあらゆる和音に乗せてあらゆる音階を弾く羽目に陥るだろう:疑問詞節(where your melodies) 動名詞(reduced to playing) 15.you're learning in an age that's neither melodic nor romantic君はメロディックでもロマンティックでもない時代に学習をしている:関係詞(an age that's neither) 16.So you've got to figure out where to go to get stuff if you want certain elements in your musicもし君が何らかの要素を自分の音楽に取り入れたいのならどこに行けばそれが手に入るのか探り当てないといけない:疑問詞+不定詞(where to go) 不定詞(to get stuff) 19.What if you hear a phrase played by Charlie Parker and you don't know what it means?もし君がチャーリー・パーカーによって演奏されるフレーズを耳にしてそれが何を意味しているか解らなかったらどうする?:過去分詞(a phrase played by) 疑問詞節(you don't know what it means) 21.In all likelihood, you won't have any idea that you don't know, because you will be the only one among your friends who's trying to play概ね起こりうることは君は自分の解らないことについて理解を得ることはないだろう、なぜなら君の友達の中で演奏しようとしているのは君一人しかいないだろうから:関係詞(any idea that you don't your friends who's trying to play)] 

 

僕が10代半ばから20歳前までの頃、僕の友人達、といってもその中でも自分達で何かしら演奏活動をしていない連中は、会話の中で、一人でもジャズミュージシャン達の名前なんて出てくることはなかった。一度もね。17年間に亘って、僕が一緒に育った仲間達、ボール遊びやら何やら過ごしてきた彼らは、誰一人として、どんな会話の中にも、ジャズアーティストの名前など、口にしなかった。ルイ・アームストロングマイルス・デイビスチャーリー・パーカー、どれもなかった。好みの問題じゃない。「俺はジョン・コルトレーンは好かん」と言うわけではない。彼らは、そういうアーティストたちの名前を聞いたことがなかっただけなんだ。だからといって僕は、彼らのことを誰一人として軽蔑など、するわけがなかった。僕にしたって、ジャズのことを知っていたのは、たまたま僕のお父さんが演奏家だったから、それだけだからね。 

(語句と文法:数字は行数) 

[p.23,3]I never heard any of my friends, those who were not musicians themselves, say the name of any jazz musician私は私の友人たちの内、自分達自身がミュージシャンではなかった人達の誰もがジャズミュージシャンの名前を一人でも口にするのを聞いてはいなかった:知覚動詞+O+原型不定詞(heard any say) 関係詞・非制限用法(my friends, those who were) 5.Over seventeen years, of all the guys I grew up with, playing ball and everything else, I never heard any of them say the name of any jazz artist in any context17年間に亘って、私が共に育った仲間達と、ボール遊びやその他なんでもして過ごした人達について、私は彼らの内誰もいかなる会話の流れの中でもジャズアーティストの名前を言う人を聞かなかった:分詞構文(playing ball) 知覚動詞+O+原型不定詞(heard any say) 9.I'm not saying that someone might have said, “I don't like John Coltrane.”私は誰かが「私はジョン・コルトレーンが好きではない」と言ったかもしれないとは言っていない:仮定法過去完了(might have said) 10.They'd never heard of him彼らは彼を聞いたことがなかった:過去完了(They had never heard) 10.The only reason I knew about jazz was because my daddy played私がジャズを知っていた唯一の理由は私のお父さんが演奏をしていたからだった:関係詞・省略(reason [why] I knew) 

 

音楽や文化の発展は、僕達の世代が世に出てきた頃、衰退した。そして、僕達以前の時代の財産は、受け継がれなかった。僕達は主に、ポップミュージックやファンクを演奏した。教会音楽は少しずつ崩されていった。多くの偉大なジャズのレジェンド達が、その信念を捨ててしまっていた。僕達が必要としていた、アメリカを引っ張ってゆくような牽引力は、もうなかった。比較的人気のあるプレーヤー達の一部は、何とか頑張っていた。アート・ブレイキーなんかがそうだ。でも僕達にとっては、古い存在だった。若手のアーティスト達の中には、演奏活動をしっかりやっているのもいた。例えばウッディー・ショーもその一人。でもベテランのジャズミュージシャン達は、大概、ヒットを得ることに集中し、後輩たちへ何も残さなかった。 

(語句と文法:数字は行数) 

14.what had happened before wasn't transferred to usそれ以前に起きたことは私達に受け継がれなかった:関係詞/過去完了(what had happened) 15.The church music was slowly being corrupted and a lot of the great jazz legends had sold out教会音楽はゆっくりと破壊されつつあり、偉大なジャズのレジェンド達の多くが自らの信念を捨て去ってしまっていた:受動態・進行形(was being corrupted) 過去完了(had sold out) 

 

僕達若手にとって、音楽が好きというなら、本物のジャズとファンクの違いを説明することさえできるというなら、「なぜジャズを演奏するのか?」ということになる。理由は思いつかない。なぜなら、女の子達にモテるわけでもない。お金を稼げるわけでもない。僕は子供の頃、「過去のもの=衰退・役立たず」であると考えていた。「過去のモノ」は「現在のモノ」と隔たりがある、などと、とんでもない間違えで、過去のことからどんなことでも見えてくる、という風には習ってこなかった。確かに、僕の父からジャズを教わろうと思えばできたけれど、教室を開いても、僕達家族5人しかそこには参加しなかっただろう。それに正直言って、父の言っていることは僕達には分からなかった。というのも、父が音楽を通して信じてきた価値あるものは、僕達の生活の中では何一つ響くものはなかった。僕達がわかるものと言えば、スーパーフライ、ジェームス・ブラウンスティービー・ワンダークール&ザ・ギャング、それからケンカの必勝法、ガンボの一番美味しい店、一番良いビリヤードが置いてある所、フットボールが一番上手なヤツ、それから一番足の速いヤツ、そんなものだった。 

(語句と文法:数字は行数) 

[p.24,4]Sure, you could have taken my father's jazz class確かに君は私の父のジャズの授業を受けることが出来たかもしれない:仮定法過去完了(could have taken) 6.we didn't know what he was talking about, because none of the values he espoused through the music resonated with anything else in our lives私たちは彼が話している内容が分からなかった、なぜなら彼が音楽を通して支持した価値観のいずれも私達の生活において感銘を与えなかったからだ:関係詞(what he was) 関係詞・省略(the values [that] he espoused)  

 

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そんな状況の下では、アーティストとしてのやる気を十分保てるように、がっちりと考え方を組み固めてゆくことは難しい。仮にやる気を自分が持てたとしても、外を走り回って、他の人達を説得し、演奏する価値を信じてもらえない音楽を、演奏してもらえるよう、上手くもってゆかねばならない。 

(語句と文法:数字は行数) 

14.Under those conditions it's difficult to piece together a philosophy strong enough to sustain an artistic impulseそういった状況の下では芸術的な動機を維持するくらい十分に考え方をしっかりと集め合わせることは難しい:仮主語(it's difficult) 不定詞(to piece together a philosophy strong enough to sustain) 17.you had to persuade everyone else to try to play something they didn't believe in君は彼らが信用しないものを演奏しようとすることを説得しなくてはならなかった:不定詞(to try to play) 関係詞・省略(something they didn't) 

 

まったく、僕に今位の知識が、当時振り返ってもしもあったらよかったのに、と思う。誰もがこういうのではないだろうか。知らないことがあれば、情報源を探しに行くべきだ、ということの重要性を。知っていたらよかったのに、とつくづく思う。実に単純だろ?よく言う「誰でもわかる」とはいかない。スコット・ジョプリンについて知りたいか?なら彼の手書きの原稿を見てみること。ジェリー・モール・モートンは?録音テープをチェックだ。デューク・エリントンが、作曲をする上で「主題」について必ず言っていたことは何か?彼のインタビューにちゃんと出てくる。僕はつくづく、年上のミュージシャン達と、もっと詳しく突っ込んだすればよかったと思っている。彼らが話してくれていたことを、飲み込むための、理解力と音楽知識が、10代の頃の僕には欠けていた。僕はよく、ロイ・エルドリッジやスウィーツ・エジソンのような、バリバリのジャズプレイヤー達と話をしたものだった。でも、その真髄は耳を素通りしてしまった。全く何も残っていない訳ではないけれど、彼らの業績のすごさを考えると、もっともっと気合を入れて、彼らについての知識を探し求めていたと思う。 

(語句と文法:数字は行数) 

20.back then it would have been nice had I known some of the things I know now当時もし僕に今僕が知っている事の内のいくつかを僕が知っていたらどれ程良かっただろうと思う:仮主語(it) 仮定法過去完了(would have been nice had I known) 関係詞・省略(the things [that] I know now) 21.I wish I had known the importance of going to the sources for information私は情報の源へ向かうことの重要性を知っていたらよかったと思う:仮定法過去完了(I wish I had known) [p.25,1.And I would have spoken to the older musicians in more detailそして私はもっと詳しく年長者のミュージシャン達に話しかけておくべきだった:仮定法過去完了(I would have spoken) 2.I didn't have the understanding or context to know what they were talking about私は彼らが話している内容を知るための理解力と背景知識がなかった:不定詞(to know) 関係詞(what they) 4.I'd rap with cats like Roy Eldridge and Sweets Edison私はロイ・エルドリッジやスウィーツ・エジソンのようなジャズプレーヤー達と話をしたものだった:過去の習慣(I'd) 6.but had I known the significance of what they had done, I would have pursued their knowledge with much more fervorもし私が彼らのしたことの価値を知っていたならば、私は遥かにもっと情熱をもって彼らのもたらす知識を追求していたことだろう:仮定法過去完了(had I known I would have pursued) 関係詞(what they had) 

 

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僕自身、ひたむきに、探求心を維持し、上手になろうとし続け、分からないことを理解しようとし続けた。そして、アンソニー、君がこの道を行く時、僕がしてきたことと同じ所へと導き戻し続けることになるだろう。なぜなら、物事は一つ一つ理解してゆくしかないからだ。その「一つ」へとたどり着く道は沢山あるかもしれないし、その「一つ」にも沢山のチェックすべきことがあるかもしれない。でも何だかんだ言った処で、やはり「一つ」なんだ。君が理解すること、君ができることは、ね。「できる」「できない」は、君が決めた通りになる。ネガティブに考えないでほしい。やれることは一つ、その「一つ」に取り組む方法は沢山。だから普通の人は、その「一つ」に取り組むキャパには限界がある。実際は、多くの人にとっては、一つのことに取り組むということは、他が犠牲になるわけだから、そうはしたくないと思うわけだ。往々にして人は、やりたいことは沢山あって、時にそれらは共存できないことがある。その火花が散る場所は、三つの大きな「やること」の境界線上だ。「やれること」「やるべきこと」「やりたいこと」の三つ。この三つが衝突しなければいいが、大抵はそうはいかない。それを防ぐのは君次第だ。ここで再び、「辛抱」「粘り強さ」「建設的態度」の話が出てくる。 

(語句と文法:数字は行数) 

9.I just kept searching on my own, kept trying to get better, kept trying to understand my one thing私はひたすら自分自身で物事を探し続け、上手になろうとし続け、その時々の一つのことを理解し続けようとした:動名詞(kept searching kept trying) 不定詞(to get better to understand) 19.All too often you have many its that you want to pursue, and sometimes they conflict, a tussle right there on the boundary among three great dos: what you can do, what you should do, and what you want to do. 往々にして君は自分が追求したいと思う「それ」を沢山抱え、そして時々それらは三つの大きな「やる」の丁度境界線上で衝突する。その三つとは、君がやれること、君がやるべきこと、君がやりたいことだ:関係詞(that you want) (what you)  

 

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さて、これは簡単なことではない。「やりたいこと」と「やるべきこと」が一致しないことはよくあるし、「やるべきこと」と「やれること」、そして「やれること」と「やりたいこと」も一致しないことがある。僕の場合、「やりたいこと」は、いつだって演奏することだった。他の人が何をしようともね。その昔、とにかく演奏する、ということに肩の力が入っていたことがあった。年上のプレーヤー達に認めてもらえる処まで行きたかった。よく口先だけの形ばかりで、こいつはダメだ、と諦められて、「いやぁスゴイね、ひたむきな演奏は見ていて嬉しいよね」なんて言われるけれど、そういうのではなく、本気で認めてもらいたかった。 

(語句と文法:数字は行数) 

10.We just glad to see somebody trying to play私達は誰かが頑張って演奏してるのを見るのはとにかく嬉しい:知覚動詞+O+現在分詞(see somebody trying) 不定詞(to play) 

 

青雲の志というものに僕は導かれていった。年上のプレーヤー達に認められる処まで至った演奏ができた、と、少なくとも自分でそう思えるようになりたかったし、自分がそこに至っていないことも自覚していた。当時の僕にとっては、メンターというものの存在は、今一つしっくりこなかった。僕自身の成長に対して素晴らしい影響も与えてくれたけれど、同時に、ほとんど何も響かないものもあった。過去を学ぶ上では素晴らしく、今必要なことにはほとんど参考にならなかった。1950~60年代の、アメリカでの公民権運動や、ロック音楽の台頭によって、世の中が大きく変化したことにより、メンターとなった世代の多くのミュージシャン達は、自分達の古き良き時代のことは理解できても、僕達の時代の事にはついてゆけなくなってしまった、ということだ。僕は多くを求めすぎたのかもしれない。 

(語句と文法:数字は行数) 

12.I wanted to hear myself playing in that certain place and I knew I wasn't there私は自分自身がある程度のレベルの処で演奏しているのを耳にしたかったし、そして私は私がそこに達していないことを知っていた:知覚動詞+O+現在分詞(hear myself playing) 15.It gave me both great and little influence in my own development: great influence in terms of knowing what had happened; very little influence in terms of knowing what needed to happen.それは私の成長に大きな影響とほとんどない影響の両方を与えた。大きな影響とは昔起きたことについて知ることであり、ほとんど影響を与えることがなかったのは発生する必要がその時あったことについて知ることに際してであった:動名詞/関係詞/過去完了(knowing what had happened) 

 

今、時代は変わったまず一つには今の方が以前より弾ける人の数が増えた。僕が売り出した頃に比べて、より多くの人が演奏活動にお金をかけ、興味を持つようになってきている。トランペットだけをとって見ても、ライアン・カイザー、マーカス・プリンタップ、ジェレミー・ベルト、マイク・ロドリゲス、そしてジーン・ジョーンズ。ピアニストは、ダニーロ・ペレス、アーロン・ゴールドバーグ、エリック・リード、そしてエリック・ルイス。こんな状況だと、君だって思わず「自分も超上手くなれるかな。」と期待し続けたくなるだろう。まぁしかし、僕だって正直そう思うよ。ジャズそれ自体が、弾ける人を生み出す素晴らしい力を持っているからね。時代を通じて様々な技術のスタイルが存在する。最高の才能を持つ最高の人材は、その「様々な技術のスタイル」を手に入れようと駆り立てられるからだ。なぜか。優れた技術はさらなる高みへの挑戦を生み、演奏家とは、試されることを、こよなく愛する。サックスるを吹く限り、チャーリー・パーカーというものが立ちはだかってくるだろう。16世紀に使われていた対位法は、それを音にできる人がいれば、復活させることができるかもしれんあい。シェイクスピアがローマ時代の悲劇演劇を復活させようとしたようにね。ピカソが相当多くの芸術スタイルを復活させたようにね。いつも時代も関係なく、それは、そういう挑戦に本当に取り組んでみたいと思う人々へと、伝わってゆく。 

(語句と文法:数字は行数) 

[p.27,2]That reality can't help but keep you optimistic about the state of the art formその現実君を否が応でも最高の芸術の状態を手に入れることに対して楽観的にさせ続けてしまう:can't help but+原型不定詞(can't help but keep) 4.I have no problem mastering optimism私は楽観主義を身に付けることに問題はない:分詞構文(mastering) 4.Jazz itself is so great, it will produce people that can playジャズそれ自体があまりにも素晴らしいのでそれは演奏できる人々を生み出すだろう:so+C+that S+V(so great that it will) 関係詞(people that can play) 10.Sixteenth-century counterpoint could be revived if someone could make it live16世紀の対位法はもし誰かがそれを生かすことが出来るなら復活するかもしれない:仮定法過去(could be if someone could) 使役動詞+O+原型不定詞(make it live) 13.It simply comes down to who makes a decision to take on the challenge, regardless of era時代に関係なくそれは挑戦を引き受ける決心をする人に伝わる:関係詞(who makes) 不定詞(to take) 

 

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現在の演奏家のレベルというものは昔の人達にはかなわないかも知れない。というのも、一般的に言って、演奏家としての自覚が、今と昔では差があるからだ。それから、今は昔よりも、ちゃんとやらなきゃ、というプレッシャーも少ない。君なら、他人からガッチリプレッシャーがかかれば、確実に上達してゆく。かつては、ジャムセッションをする時は、「ダメ」という言葉には、演奏を上達させる力があった。今のようにお互い気を遣う世の中とは違ってね。しかしそれも、時代の流れというものだ。でも、もしかしたら、昔の様なやり方は復活するかもしれない。なぜなら、当時の名演奏は、誰もが気軽に聴けるわけで、そうすれば、ジャズの名演奏がどんなものかが、よくわかる。物事の良し悪しの基準がどこにあるのか、君にはちゃんと知っていてほしい。 

(語句と文法:数字は行数) 

21.That attitude could reverse, because the performances produced on those classic records will always be around for people to listen to, to know what great jazz playing sounds likeその姿勢は戻るかもしれないなぜならそういう名盤に録音された演奏はいつでも人々の手の届くところにあり聴いて偉大なジャズの演奏がどのような音がするかを知ることが出来るからだ:仮定法(could reverse) 過去分詞(performances produced on) 不定詞(to listen to to know) 疑問詞節(what great jazz playing sounds like) 

 

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僕はこの音楽ジャズ)が大好きなんだ芸術面でも、人として生きる上でも、僕の背中を押してくれる。ジャズは、とにかく聞かないといけない、と僕は思っている。でも聴かないといけないものは、音楽そのものよりも、もっと深い所にある。それは、人間とは何か、についてだ。それは、人間とは何か、についてだ。それは人間らしさ、人間から出てくる最高のものだ - それは意識とか、感覚とか、「道」という概念とかだったりする。だからこそ僕は、どんなCDよりも生演奏を聴きに行くのが楽しいんだ。でも誤解してはいけないこと、それは、今の時代のプロ達は、銘板のCDに録音された偉大な演奏と、肩を並べてゆくことも出来るし、実際時々その通りになっている。僕も昔はこのことについては半信半疑だったが、今はそう信じるようになった。昔も今も、人々は演奏しているのだよ。他人が過去の録音に夢中になろうが、何をしようが、そのようなことは関係ない。この道は君の方へと戻ってくる。「人間らしさ」が君の耳に、届こうと届くまいと、聴きに行くんだ、人間の演奏を。それも練習の一つだ。フランク・ヴェスは、常に生演奏を聴きに足を運ぶ。80代かそこらの彼は、酷評を受けても今尚スウィングし続ける。外の世界にその身を置いてね。 

(語句と文法:数字は行数) 

3.It's about a thing, a human thing, the best of what comes out of us - a consciousness, a feeling, a wayそれは人間の事について、人間の事とは私達から出てくるもの、それは意識、感覚、「道」という概念:関係詞(the best of what comes) 5.That's why I enjoy listening to people play live more than any CDそれは私がどんなCDよりも人々がライブで演奏するのを聴くのを楽しむ理由だ:関係詞(why) 動名詞/知覚動詞+O+原型不定詞(enjoy listening to people play) 6.but don't believe that it's not possible for contemporary practitioners to reach or transcend those moments of greatness frozen on classic CDsしかし信じてはいけないこと、それは現在の職業演奏家たちにとって名盤のCDに閉じ込められている偉大な時間に追いついたり勝ったりすることは可能ではない、ということだ:仮主語(it's not) 不定詞(to reach or transcend) 過去分詞(frozen on) 11.Whether you can hear it or not, and do you go out to hear people play君がそれを耳にすることが出来るかどうかに関係なく、とにかく人々が演奏するのを聞きに行け:強調(do you go) 知覚動詞+O+原型不定詞(hear people play) 13.I see Frank Wess out listening to people all the time. Dressed down at eighty-something and still swinging私はフランク・ヴェスがいつでも人々が演奏するのを聴きに出かけ、80歳かそこらなのに酷評され、それでもなおスウィングし続けているのを目にしている:知覚動詞+O+現在分詞/過去分詞(see Frank Wess out listening Dressed out swinging) 

 

僕は僕のお父さんやその仲間のミュージシャン達が、「修行の場に行くかぁ!」などと話しているのをよく耳にした。「修行の場」などと言うと、ボコボコにされる所かと思っていた。実際その通りなんだけれど、同時にそこは、ミッチリ鍛えられる場所でもある。チャーリー・パーカーはシンバルを投げつけられたりした。彼はそういう場所へ身を投じ、そして自分がやりたい演奏に必要な力をつけてきた。昔も今も、修行の場所は必要だ。練習のことを「修行」というのは、そのためだ。練習(practice)といえば、もうひとつpで始まる言葉だね。これも君に話すべきだな。 

(語句と文法:数字は行数) 

16.I used to hear my daddy and them talk about going to the woodshed私は私のお父さんとその仲間達が修行の場へ行くことについて話すのをよく聞いたものだった:過去の習慣(used to) 知覚動詞+O+原型不定詞(hear my daddy and them talk) 17.I thought the woodshed was a place where you got your behind whipped私は修行の場とは自分の尻をひっぱたかれる場所だと考えていた:関係詞(where) get+O+過去分詞(got your behind whipped) 20.he went into the woodshed and came out with a technique to play the music he needed to play彼は修行の場へと入ってゆき彼が演奏する必要がある音楽を演奏する為の技術を身につけて出てきた:不定詞(to play) 関係詞・省略(the music [that] he needed) 

 

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それで思い出した。建設的な態度(productivity)も忘れないこと。君はミュージシャンになりたいんだろう?小さな本番をどんどん外でやってくることだ。方程式を一つ覚えよう。なに、シンプルなヤツだから大丈夫。「今の実行=未来の実行」だから、今のうちに色々な演奏活動に取り組んでいれば、将来きっとそれは開花した形で、また取り組むことになる。そうでなくて嘘ばかりやっていると、本当にそうなってしまうだろ? 

(語句と文法:数字は行数) 

3.What you do is what you will do今自分がしていることは将来自分がすることである:関係詞(what) 

 

人間(アンソニー)らしさを保ち続けなさい。 

 

 

次回、第6回は、3. Talking Rules, Singing Freedom(ルールを語る、自由を歌う) 2003年7月2日の、前半部分を見てゆきます。